膣壁

【ちつへき】名詞

同義語

同品詞の類義語

内壁文芸的
柔肌文芸的
秘肉文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

官能の回廊文芸的
悦びの道文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

絹のような文芸的
蜜に濡れた文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

奥深く文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

包み込む

体言的言い換え

用言を体言に変換

桃源郷文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

官能の園文芸的
熱く濡れる

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腺を持たない面——壁と呼ぶしかなかった理由

解剖学の日本語には、壁という部品があります。胃壁、腸壁、血管壁、心室壁、子宮壁——いずれも内側に空間を持つ器官にだけ与えられ、肝臓や膵臓のように詰まった臓器には付きません。壁の字が付いているかどうかを見るだけで、その器官が中空かどうかがわかります。名づけの体系としては、かなり合理的に整えられているほうでしょう。建築の語を借りて身体の内部を区分するというやり方は、蘭学以来の翻訳語彙にひとつの型を残しました。

壁の字そのものも見ておきます。土と辟から成り、辟には避ける、しりぞけるという意味があり、辟易の辟と同じ字です。隔てて近づけないもの、というのが字の含みでしょう。ところが身体の壁は、隔てることよりも通すことのほうを主な仕事にしています。血管壁は酸素と栄養を通し、腸壁は分解された分子を通します。字は遮断を、実体は透過を担当していることになります。近代の解剖名が抱えた食い違いは、借りてきた比喩そのものに最初から含まれていました。

前半の字も、その翻訳の過程で選ばれたものです。肉月に窒と書きますが、窒は塞ぐことを意味する字で、窒息の窒と同じものです。通り道を指す名に、塞ぐという意味の字が使われている——組み合わせとしては落ち着きが悪い。音の側の都合と意味の側の都合を、その都度折り合わせながら訳語を組み立てていった時代の産物でしょう。近代の解剖名には、こうした無理の跡がところどころに残っています。

生理の側を見ると、この面には奇妙な特徴があります。表面を覆っているのは重層扁平上皮で、汗腺や粘液腺のような分泌の装置を持ちません。腺がないのに、湿ります。興奮時には周囲の血管が充血し、血漿の成分が上皮のあいだを通って表面へ滲み出てくると説明されており、この現象は漏出液という語で呼ばれています。液体を出す穴が存在しない以上、名指せるのは面のほうしかありません。この語が壁の一字で終わっているのは、命名者の趣味ではなく、構造上そう呼ぶしかなかったからだと考えられます。

もっとも、壁という比喩はここでもすぐに破れます。建築の壁は動きませんが、こちらは三つの層でできていて、そのうちのひとつは平滑筋です。筋を含む以上、壁自身が縮み、緩みます。中空の器官はどれも、粘膜と筋層と外膜という同じ三層構造を共有しており、消化管も血管も設計の考え方としては同じです。壁と呼びながら、実際には動く管を指している。一字の比喩で受け止めきれない対象に、無理を承知で一字を当てたことになります。

さらに、この面は単独で働いているわけでもありません。上皮の細胞が供給するグリコーゲンを常在する乳酸桿菌が乳酸へ変えることで、内部は酸性に保たれます。この酸性度が、他の菌の増殖を抑えていると考えられています。建築の壁に住人がいて、その住人の代謝が壁の性能を決めているようなものです。最後にひとつ、視点の話をしておきます。壁と呼べるのは、内側から見た者でも外側から見た者でもなく、断面を見た者だけです。この二字には、解剖図の視線があらかじめ含まれています。

文: hakadoru.ai 編集部

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