押し開く

【おしひらく】動詞

同義語

同品詞の類義語

こじ開けるcolloquial
割って入る
切り裂く文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

開き直るcolloquial
奥深くまで届ける

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

荒々しい嵐のように文芸的
果敢に攻め入るように

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

力強く
大胆に

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

侵入する
攻め入る文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

侵襲文芸的
愛撫の奥義

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

荒々しく攻めるcolloquial
熱く求める
欲望のままに文芸的

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蝶番のある境界にだけ効く語

開き戸という仕組みは、蝶番という一点にだけ回転の自由を許し、それ以外のすべての方向を拒むことで成り立っています。押して開くという動作が可能になるのは、扉が抵抗をやめるからではありません。抵抗の方向が一つに絞られ、残された一方向にだけ逃げ場が用意されているからです。横へ滑らせる引き戸にこの語が使いにくいのも、同じ事情によります。回転する境界面に対してだけ、この複合動詞は正確に働きます。

日本語には「押し」を前に置いた複合動詞の厚い層があり、そのなかで前項の実質はまちまちです。押し黙る、押し量る、押し詰まる では、押す動作そのものが消えて、強意の接頭辞に近いものが残っています。押し倒す、押し当てる では、実際の力が最後まで残ります。この語はちょうど中間に位置します。力は残っているのですが、その力の向きを決めているのは押す側ではなく相手の構造のほうで——蝶番の位置が、加えられる力の意味をあらかじめ規定しているのです。

後項に選ばれた「開く」も、日本語の動詞としては変わった性質を持っています。「ひらく」と読むとき、この語は自動詞にも他動詞にもなります。花が開く、と言えば自動詞ですし、扉を開く、と言えば他動詞です。同じ形のまま両方向に使える動詞は、それほど多くありません。「あく」と「あける」のように形を変えて対をなすのが、日本語では普通の作りだからです。前項に「押し」が付くと、この両義性は片側へ倒れます。押し開くと言った時点で、開いたのは自然にではなく誰かの力によってだと決まってしまいます。両用の動詞をわざわざ片側へ固定する部品、それがこの複合語における前項の仕事です。

メルロ=ポンティは、自分の右手で左手に触れるとき、触れる手が同時に触れられる手にもなるという事態に、身体の基本的な性格を見ました。『知覚の現象学』から後期の草稿へ、この可逆性の主題は形を変えながら続いていきます。扉を押す手にも、似た二重性があります。押している手は、扉の抵抗の分だけ押し返されており、開き具合ではなく手のひらにかかる圧力から、板の重さと蝶番の錆び具合を知ります。力を加えることが、そのまま受け取ることになっている場面です。

ブーバーが『我と汝』で分けたのは、相手を「それ」として扱う関係と、「なんじ」として向き合う関係でした。前者では相手は用途を持った面になり、後者では、こちらの見積もりに収まらないものとして立ち現れます。この議論を思い出すと、この動詞の適用範囲の狭さが見えてきます。開かれる側は、開くための構造を自分の側に持っていなければなりません。蝶番のない相手に対しては、この語は空回りします。文法の上では目的語の座に何を置くこともできますが、置いた瞬間に、相手を蝶番のついた面として扱ったことが読者へ伝わってしまいます。

実際、この座に来るものは限られています。門、戸、鎧戸、瞼、唇、胸——いずれも二枚に分かれて回転する構造を備えたものばかりで、単なる広がりや面積は目的語になりにくいのです。そしてもう一つ、蝶番は往復のための部品であって、一方向の通過のための部品ではありません。開かれた扉は、放っておけば戻ります。有限性という言葉が抽象的に響くなら、閉じる側へ働き続ける戸の重さを思い浮かべればよいでしょう。開いた状態を保つには、押し続けるか、別の何かを噛ませるかしかないのです。

文: hakadoru.ai 編集部

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