掻き抱く

【かきいだく】動詞

同義語

同品詞の類義語

貪る文芸的
絡み合う文芸的
求め合う

類義句

同品詞の慣用的言い換え

愛を交わす文芸的
身を重ねる

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

獣のような
嵐のような

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

激しく
情熱的に文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

愛撫する

体言的言い換え

用言を体言に変換

快楽の交わり文芸的
官能の渦文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

貪欲に
激情に身を任せて文芸的

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目盛りのない強度——調査票が数えられなかったもの

一九一九年、ベルリンに性科学研究所が開かれました。相談窓口と蔵書と質問紙を備え、それまで医学の周縁に散らばっていた記述を一箇所に集めようとした施設です。一九三三年、学生団体が押し入って蔵書を運び出し、街頭で焼きました。失われたのは書物だけではなく、匿名を条件に回収された膨大な回答用紙でもあったと伝えられます。性を科学の対象として扱う試みは、その初期に一度、資料ごと消されているのです。

性を数える方法には、最初から構造的な制約がついて回りました。十九世紀末に刊行が始まった英国の性心理研究の叢書は、初巻が猥褻出版として摘発されています。調査票が成立するには、行為が数え上げられる単位に切り分けられていなければなりません。始まりと終わりが決まっていて、あったかなかったかで答えられるもの——集計はそこでだけ動きます。ところが抱きしめるという行為には明確な開始も終了もなく、強度を段階に割ることも難しいのです。分類の網は、この種の持続を最初から取りこぼす形に編まれていました。

分類そのものも書き換えられます。二十世紀後半には、それまで病理の項目として登録されていた性のあり方が、精神医学の診断分類から削除されました。削除を促したのは新しい発見というより、何を数え何を数えないかについての合意の変更でした。分類表は自然の切れ目を写した地図ではなく、その時代に何が問題として立てられていたかの記録だということになります。項目の増減は、対象の変化ではなく観測者の変化を示しています。数えるという行為には、必ず数える側の姿勢が写り込みます。

日本語の側から見ると、こうした取りこぼしを言い当てる語形がすでに用意されています。読みは、か・き・い・だ・くの五拍です。頭の「かき」は接頭辞で、「掻く」という動作の意味はほとんど残っていません。掻き消す、掻き曇る、掻き集める、掻き口説く——並べればわかるように、この接頭辞が加えているのは動作の種類ではなく、勢いや徹底の度合いです。爪を立てる意味は抜け落ち、強さの目盛りだけが残りました。

後項の「抱く」には読みの層があります。古くは「うだく」があり、「いだく」を経て、日常語の「だく」に至ったと考えられています。現代語では役割分担がはっきりしていて、「だく」は身体の動作を、「いだく」は希望や疑念といった抽象を目的語に取ります。「掻き抱く」が興味深いのは、読みとしては抽象側の「いだく」を保ちながら、指しているのは腕の動作だという点です。抽象の系列に属する読みで、具体の行為を名指しています。層をまたいだこの居場所が、語に独特の重さを与えてきました。

強意の接頭辞は程度を示しますが、目盛りは持ちません。どれくらい強いのかと問われても、「かき」は答えを返さない。性科学が百年かけて整えてきた分類表と、この五拍の語が担っているものは、正確にすれ違っています。数えられるものを数える営みが誠実であるほど、数えられないものの輪郭ははっきりしてくる。焼かれた回答用紙のなかにも、おそらく書きようのなかった欄が残っていたはずです。

文: hakadoru.ai 編集部

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