尻

【しり】名詞

同義語

同品詞の類義語

臀部文芸的
美尻colloquial
桃尻colloquial

類義句

同品詞の慣用的言い換え

桃源郷文芸的
柔肌の丘文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

熟れた果実のように文芸的
波打つように文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

ゆったりと

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

弾む

体言的言い換え

用言を体言に変換

官能の曲線文芸的
魅惑のラインcolloquial

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

官能の頂文芸的
魅惑の源泉文芸的
天女の羽衣文芸的

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末端を名指す関数——閾はどこに置かれてきたか

帳簿の最終行を帳尻と呼び、発言の末尾を捉えることを言葉尻と言い、川の下流域を川尻と呼びます。調子が後半で上がることは尻上がり、勢いが後半で衰えることは尻すぼみ、途中で終わった話は尻切れです。目のふちにも、この語が入り込んでいます。身体の一部を指す和語でありながら、実際の用例の多くは身体から遠く離れた場所で使われており、そこでの意味は一貫して「末端」「後ろ側」「下部」に収まります。二拍しかないこの語が担っているのは、部位ではなく位置関係だと考えたほうが、用例の広がりをうまく説明できます。

字のほうも同じ層に属しています。「尻」の部首である尸は、人が身体を横たえたかたちに由来すると説明され、この部首のもとには身体の下部や末端に関わる字が集まっています。尿も尾も屁も同じ仲間です。もっともこの字は長らく公的な字種表の外にあり、常用漢字表に採られたのは二〇一〇年の改定でのことでした。日常語としてこれほど流通していながら、公文書の側では扱いが定まらない時期が長く続いていたわけです。

末端をどこに置くかという問いは、精神病理学が長く抱えてきた中心の問題でもあります。記述精神医学は、症状をまず観察可能な形で書き取ることから始まりました。落ち着かない、眠れない、考えがまとまらない——ここまでは誰にでも起こります。同じ現象が、どこから記述の対象になるのでしょうか。頻度が増えれば、持続が延びれば、生活が滞れば、という条件はいずれも程度の話であり、程度の話には自然な切れ目がありません。連続した目盛りの上に線を引く操作を、この分野は繰り返してきました。

線引きを数値で明文化する方式が診断基準に本格的に持ち込まれたのは、二十世紀の後半に入ってからです。何週間以上続いたか、いくつの項目が同時に当てはまるか、といった条件を書き下すことで、診断者による判断のばらつきは確かに縮みました。ただし縮んだのは判定の一致度であって、線そのものの正しさが示されたわけではありません。閾は、運用のために置かれています。

正常という語の使われ方を整理すると、線の引き場所は少なくとも三通りあることが見えてきます。集団のなかで頻度が低いことを異常とみなす引き方、あるべき姿からの隔たりで測る引き方、そして本人の生活に支障が出ているかどうかで決める引き方です。三つは互いに一致しません。まれではあるが誰も困っていない状態があり、ありふれているのに当人が立ち行かない状態もあります。どの目盛りを採るかによって、末端の位置は前にも後ろにも動きます。

この語を「臀部」に置き換えると、失われるものがはっきりします。臀部は解剖学の用語で、身体の一区画を名指す固定した値です。対して和語のほうは、対象が何であれその末端を指し当てる関数として働きます。帳簿にも川にも言葉にも適用でき、身体に適用されたときにだけ部位の名として読めるという性質があります。性愛の文脈でこの一字が選ばれるとき、そこには対象を解剖学の座標へ送り返さずに、身体を末端と背面の関係のまま置いておく効果があります。書き手が管理しているのは形の描写ではなく、視点をどちら側に立たせるかの配置です。

文: hakadoru.ai 編集部

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