搾り取る

【しぼりとる】動詞

同義語

同品詞の類義語

絞り出す
しごくcolloquial
吸い出す

類義句

同品詞の慣用的言い換え

蜜を絞る文芸的
渾身の一撃colloquial

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

まるで絞り機のように
果実を潰すように文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

じっくりと

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

刺激を与える
攻め立てるcolloquial

体言的言い換え

用言を体言に変換

官能の抽出文芸的
絶頂への導き文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

追い込む
貪るように文芸的

関連語を探す

搾り尽くされない身体

自律神経の教科書には、よく知られた例外が一つ載っています。汗を出すエクリン腺は交感神経の支配を受けていながら、末端で放出される伝達物質はアセチルコリンで、他の交感神経終末が用いるノルアドレナリンではありません。緊張したときに手のひらが湿るのも、暑さで全身が濡れるのも、同じ系統が担っています。体液を外へ出す仕組みが興奮の系に組み込まれている——この配線が、汗を単なる冷却現象から遠ざけています。

発汗が続けば、体内の水は減ります。血漿の浸透圧が上がると下垂体後葉からバソプレシンが放出され、腎臓での水の再吸収が高まって、尿は濃く、量は少なくなります。同時に口渇が起こり、行動のほうが補給へ向かいます。身体は、出すことと同じだけの熱心さで、出しすぎないための仕組みを働かせています。すっかり搾り取られた状態というものは、生理学的にはまず成立しません。輪郭が失われる前に、必ず別の系が動き出します。

汗以外の経路も、同じ構えを持っています。涙腺も唾液腺も乳腺も、分泌の速度は自律神経と内分泌の両方から調整され、需要が続くかぎり生産のほうが追いかけます。一方向に出し続けるだけの器官は、身体のなかにほとんど見当たりません。出す仕組みには、たいてい戻す仕組みか作り直す仕組みが対になって備わっていて、その対がある以上、尽きるという事態は正常な範囲では起こらないことになります。

語の側を見ると、この動詞は二つの動作の合成でできています。しぼるという運動に、とるという結果の獲得が接続された形です。日本語の複合動詞では、後ろに付く「取る」が完了と徹底の含みを加えることが多く、聞き取る、奪い取る、削り取ると並べてみれば、いずれも残余をゼロへ近づける方向でそろっています。前半だけなら途中でやめられますが、後半が付いた時点で——語の構造そのものによって——対象の側に残しておく分は想定から外れます。四文字の複合が持っているのは動作の強さではなく、終点の指定です。同じ前半を持つ語でも、搾り出すなら押し出す方向が、搾り上げるなら段階を追った累積が前面に出ます。後半に何を置くかで、同じ運動の記述が別のものに変わっていきます。

目的語の並びにも、偏りがはっきり出ます。この複合動詞が実際に従えるのは、金、税、労働力、体力、精気といった、量として見積もられるものです。果汁を搾り取る、という言い方はできなくもないのですが、日常でこの形が選ばれる場面はごく限られます。液体を取り出す動作から出発した語が、実際の使用ではもっぱら数えられる資源のほうへ寄っている。同じ字を持つ搾取という熟語が労働の成果を奪う側を指すようになったのも、同じ傾きの現れでしょう。

見積もられた量には、必ず底が想定されます。ところが身体の側は、その底を用意していません。失えば濃縮が始まり、渇きが起こり、恒常性のほうが先に手を打ちます。汗も涙も乳も、出した分だけ残高が減る帳簿としては動いていないからです。この語が誇張として響きやすいのは、終点を指定する後項と、終点を持たない身体とが、一語のなかで噛み合っていないためです。

文: hakadoru.ai 編集部

エディタで直接置換して執筆を加速

SaaS エディタではシソーラスの結果をワンクリックで本文に反映できます

無料で始める →