だいしゅきホールド
【だいしゅきほーるど】名詞句同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
直喩変換
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
副詞的言い換え
情態副詞・形容詞の副詞的変換
動詞的言い換え
形容詞・副詞を動詞句に変換
体言的言い換え
用言を体言に変換
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
情態副詞・形容詞の副詞的変換
形容詞・副詞を動詞句に変換
用言を体言に変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
生まれて間もない乳児の手のひらに指を当てると、指はしっかり握り返されます。把握反射と呼ばれるこの動きは意志と無関係に起こり、生後半年ほどのあいだに静かに消えていきます。霊長類の乳児が親の体にしがみつく必要から残った運動だと考えられていますが、消えるのは反射としての握りだけで、四肢を折りたたんで他者の胴に巻きつけるという姿勢の型は、その後も人の身体表現のなかに残りつづけます。学習して覚える構えというより、体が最初から知っている構えに近いのです。
この姿勢を名指す語として近年広まったものは、表記に漢字を一字も持ちません。仮名で九字、拍で数えれば だ・い・しゅ・き・ホ・ー・ル・ド の八拍になります。拗音「しゅ」が二字で一拍、長音符が一字で一拍を占めるため、字数と拍数がひとつずれます。前半は「大好き」を幼児の発音になぞらえて崩した綴りで、サ行の音がシャ行へ寄る置き換えは、構音がまだ完成していない子どもの発話でよく観察されるものです。後半は組み技の用語として定着した外来語で、相手の動きを封じることを意味します。甘えの音と、拘束の術語。この接合が、語の働きのほとんどを説明しています。
姿勢を保つ筋の働きは、関節の角度が変わらないまま張力だけを出す等尺性収縮に当たります。歩行や咀嚼のように筋の長さが変化する収縮と違い、等尺性の保持では筋内の血流が滞りやすく、外から見て静止していても疲労は着実に溜まっていきます。四肢で他者の胴を締める構えは、股関節を曲げる筋群と上肢を曲げる筋群を同時に、しかも長時間動員するため、当人が思うよりずっと早く限界が来ます。さらに、胸郭を外から囲えば肋骨の拡張は妨げられ、換気は腹側の動きへ寄り、呼吸数はわずかに上がります。
締めつづける側には、もうひとつ別の代償があります。持続的な圧迫は末梢の神経の伝導を局所的に妨げ、痺れを生みます。正座を続けた脚に起こるのと同じ機序で、圧のかかった腕や脚は感覚を鈍らせ、やがて自分の四肢の位置が分からなくなります。相手を離さないために動員した部位が、真っ先に感覚を手放していきます。密着の維持は、相手を感じつづけるための行為でありながら、感じる能力そのものを削っていくという逆の作用を抱え込んでいます。
接触面が広がることは、放熱の側から見れば逃げ場を塞ぐことでもあります。皮膚は体温を捨てるための最大の器官で、他者と密着した面ではその放散がほぼ止まります。密着は続けるほど熱を溜め、汗ばみ、やがてどちらかが姿勢を崩します。その一方で、圧のかかったゆっくりした接触は心拍を落ち着かせる方向にも働くと考えられており、向きの違う二つの変化——深部に熱がこもることと、自律神経が鎮まること——が同じ姿勢のうちに同居します。快と負荷が分離しないというこの事情は、抱擁を扱うどんな記述にもついて回ります。
八拍という長さは、この語が擬音語でも擬態語でもないことを示しています。日本語の擬態語の多くは四拍の反復形に収まりますが、ここには反復がなく、幼児語と競技用語という出自の異なる二つの塊が継ぎ足されているだけです。名づけの構造が、そのまま姿勢の構造に対応しています。甘えと拘束、弛緩と緊張、離れたくないという願いと、離れられなくする力学。生理学の側から見れば、この姿勢はさほど長くは保てません。保てないと分かっているものに名前だけが与えられたという点に、この語の可笑しみと切実さが同時にあります。
文: hakadoru.ai 編集部
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