果肉
【かにく】名詞同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
直喩変換
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
副詞的言い換え
情態副詞・形容詞の副詞的変換
動詞的言い換え
形容詞・副詞を動詞句に変換
体言的言い換え
用言を体言に変換
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
情態副詞・形容詞の副詞的変換
形容詞・副詞を動詞句に変換
用言を体言に変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
苺の赤くみずみずしい部分は、植物学の区分では果実ではありません。表面に散る粒のほうが一粒ずつの果実で、赤い部分は花托、つまり花の土台が肥大したものです。林檎も同じ型で、芯を囲む食用部の多くは花托に由来し、こうした構造は偽果と呼ばれます。桃では食べる部分が中果皮にあたり、蜜柑では砂じょうと呼ばれる袋の中の粒々が食用部を作ります。同じ「果肉」という一語で呼ばれているものが、由来する器官としてはこれほど散らばっているわけです。
この語彙の並びを眺めていると、植物学の日本語が動物の身体からどれだけ多くを借りてきたかに気づきます。果皮、種皮、胚、子房——そして種子が付着する場所は胎座です。哺乳類の胎盤を指す語が、そのまま花の内部の地名として定着しています。果肉の「肉」にしても、本来は動物の筋の字です。葉の内部組織を葉肉と呼ぶ用法も同じ流用にあたります。植物を記述するための語彙が、記述する側の身体から調達されている。
性を対象にした科学も、同じ問題を抱えたところから出発しました。何を軸に分けるかによって、まったく別の地図が描けてしまうのです。行動の頻度で分けるのか、欲望の向きで分けるのか、本人の自己規定で分けるのかで、同じ集団が三通りに切り分けられます。調査法の側にも制約があり、二十世紀半ばの大規模な面接調査は志願者や特定の集団に偏った標本に依存していたことが後に繰り返し指摘されました。一九九〇年代以降、各国で確率標本にもとづく全国調査が組まれ、それ以前の推定値の多くが上振れしていたと考えられています。同じ質問文でも、面接で尋ねるか紙に書かせるか、匿名性がどれだけ保証されているかで回答の分布が動くことも確かめられています。分類は現象の構造ではなく、調べ方の構造を映していました。
果肉という語も、その意味では調べる側の語です。可食部という基準は、植物の発生の順序とも器官の系統とも関係がありません。人が口に入れる部分をひとまとめに呼ぶ必要があった——この一語はそこから要請されています。果実、実、果肉の使い分けを見ればその偏りははっきりします。「実」は和語で広く、種子も内容物も指し得ますが、「果肉」は種と皮を除いた残りにしか使われません。除去したうえで残ったものを名指す語であり、除去の手順が語義の内側に組み込まれています。「くだもの」のほうは木の物に由来するとされ、こちらは器官でも可食部でもなく、どこに生るかで線を引いています。同じ対象をめぐって、産地で切る語と、部位で切る語と、調理の残りで切る語が並存しているわけです。
分類の限界を言うとき、しばしば「自然の側に切れ目がない」という言い方がされます。ただ、苺の粒と赤い部分の関係を知ってしまえば、切れ目がないというより、切れ目が幾通りにも引けるというほうが実情に近いと感じられます。植物学は発生の順序で切り、料理は口当たりで切り、流通は日持ちで切ります。性の科学が積み上げてきた分類の変遷も、対象が曖昧だったからではなく、切りたい目的が変わり続けたから起きたのでしょう。果肉という語は、そのうちの一つの目的を、字面に残したまま運んでいます。
文: hakadoru.ai 編集部
AIを使わずブラウザ内で完結する、無料の文章診断ツール。語尾連続・一文長偏り・漢字率など12項目をリアルタイムチェック。
テンション値を調整するだけで、シーンに合った擬音・オノマトペを生成。プリセットから選ぶことも可能。
フォームに貼り付けた文章を20字×20行の原稿用紙レイアウトPDFに組版してダウンロード。罫線・禁則・ノンブルはSaaS本体の組版エンジンと同一。完全ブラウザ処理・本文サーバー送信なし。
創作した名前の読みをかなで入力すると、音が近い既存語と読者の連想イメージを一覧化。同音語との衝突警告も。近傍探索はブラウザ内完結。