抑え込む
【おさえこむ】動詞同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
直喩変換
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
副詞的言い換え
情態副詞・形容詞の副詞的変換
動詞的言い換え
形容詞・副詞を動詞句に変換
体言的言い換え
用言を体言に変換
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
情態副詞・形容詞の副詞的変換
形容詞・副詞を動詞句に変換
用言を体言に変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
柔道の抑込技は、相手の背中を畳につけた状態を、規定の秒数だけ保ち続けられれば勝ちになります。投げ技のように一瞬で決まるのではなく、時計が動いているあいだ、こちらは力を出し続けなければなりません。審判が数えているのは技の巧拙ではありません——持続です。競技の用語がこの構造を持っていることは、日常語のほうを考えるときの手がかりになります。
日本語は「おさえる」に二つの字を割り当てています。手や物で動かないようにするのが「押さえる」で、感情や勢いや病勢を鎮めるのが「抑える」のほうです。書き分けの規範としてはそう整理されていますが、複合になると境界は曖昧になります。後項の「込む」は内部への移動か徹底かを表す補助動詞で、「押し込む」「詰め込む」「思い込む」と同じ列に並びます。「抑え」に「込む」がつくと、抑えた対象を外へ出さないという含みが加わります。単に静めるのではなく、封じたまま内側に保つこと——そこまでが含みに入るので、この複合動詞は物理の側と心理の側の両方に足を掛けたままです。
感情を抑えるという事態について、十七世紀の哲学者スピノザは『エチカ』の第四部で、はっきりした命題を置いています。感情は、それと反対の、しかもそれより強い感情によってでなければ、抑えることも取り除くこともできない、という趣旨です。理性が単独で欲望を止めるのではなく、力には力が要る。この命題が言っているのは、抑制が意志の一撃ではなく、力の均衡だということです。均衡は放っておけば崩れますから、抑え込みには常に供給が必要になります。
抑える対象が自分の外にあるとき、構図は単純です。相手がいて、こちらがいます。ところが対象が自分の内側にあると、同じ動詞が主体を二つに割ってしまいます。抑えている自分と、抑えられている自分とが、同じ身体のなかに並ぶことになるからです。力を出す側の疲労も、押さえつけられる側の圧力も、結局は一人ぶんの有限な資源から出ていきます。長く抑え込むほど、抑える力そのものが痩せていくという逆説が、ここに生じます。
封じられているものは、誰の目にも触れません。ここに承認をめぐる問題が入り込みます。他人へ示された欲望は、受け入れられるか拒まれるかのどちらかで決着しますが、内側に留め置かれた欲望はどちらの判定も受けられません。判定を受けないものは減衰せず、形も変わらないまま保存されます。後項に「込む」を選んだことの意味は、ここでも効いています。外へ出さないという含みは、そのまま、外からの返答を受け取らないという含みでもあるからです。
有限性という語が具体的な意味を持つのは、この計算のところです。時計は動き続け、力は減り、いつか手がゆるみます。解けたときに何が起きるかは、抑えていた時間の長さに比例するとは限りません。むしろ、抑えるために使った力の総量のほうが、解除の勢いを決めているように見えます。この動詞を描写に使う書き手は、だから同時に二つの量を管理していることになります。押さえつけている力と、それが尽きるまでの残り時間と。
文: hakadoru.ai 編集部
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