情事

【じょうじ】名詞

同義語

同品詞の類義語

愛の営み文芸的
肉体の交わり文芸的
官能の戯れ文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

二人の蜜月文芸的
熱い抱擁

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

燃え上がる炎のように文芸的
蜜の甘さに溺れるように文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

激しく

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

絡み合う
愛し合う

体言的言い換え

用言を体言に変換

官能の時文芸的
欲望の解放文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

淫らな戯れ文芸的
禁断の悦び文芸的

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事という空欄——画面を占める文様、語を占める器

春画の画面をまず占めるのは、たいてい着物の文様です。青海波や麻の葉、大胆な縞が布の面積いっぱいに摺られ、肌は布の裂け目からわずかに覗くにすぎません。彫師と摺師の手間の大半は衣裳に注がれ、身体の描線はむしろ簡素に処理されます。見せるために作られた絵でありながら、画面の設計の大部分は覆うことに使われている——この逆転を検閲逃れの工夫としてだけ読むと、絵の側の計算を取り逃がします。覆いは残余ではなく主役であり、見えている部分は、覆いがたまたま開けた穴として提示されているからです。

語の側にも似た設計が組み込まれています。この二字のうち、後半の「事」は日本語の漢語二字語のなかでも指示力がきわめて弱い部類に属します。工事も火事も行事も家事も、前半が示す領域で起きる出来事一般を受け止めるだけで、「事」の側は形も動きも描きません。中身の記述はすべて前半に預けられ、後半は器の名として残ります。前半に置かれたのが「情」ですから、預けられた説明は「心のはたらきに関わる領域」というところまでしか進まず、行為の輪郭は語のどこにも現れません。じょ・う・じと三拍を数え終えるまで、この語は一度も身体に触れずに済みます。

省略を消極的な妥協ではなく積極的な技法として使う点で、性愛芸術は近代以前から一貫していました。西洋の油彩では、裸体は長いあいだ神話や聖書の主題を借りることで画面に入りました。主題という名目が、描かれているものの弁明を引き受けたわけです。浮世絵の枕絵、笑い絵といった別称で呼ばれた一群では、名目ではなく画面の分割そのものが同じ役を担いました。屏風、几帳、蚊帳、襖、衝立といった室内の仕切りが構図を斜めに横切り、見えるはずの範囲を幾何学的に切り落とします。切り落とされた側を補うのは見る者であり、その補完の作業こそが、絵の用意した経験でした。

媒体の形式も視線の順路を決めていました。艶本と呼ばれた冊子仕立てのものは掌に載る大きさで、めくるという動作を前提にしています。次の丁に何があるかは、めくるまで分かりません。組物の錦絵であれば一枚ごとに時間が飛び、飛んだ幅は買い手の側が埋めます。どちらの形式でも、作り手が管理していたのは「何を見せるか」よりも「どの順で、どれだけ待たせるか」でした。情事という語がしているのも、これに近い操作です。出来事があったという事実だけを先に置き、内容の充填は読者の時間に委ねます。

隣に並ぶ類義語と入れ替えてみると、この語の位置がはっきりします。「交合」や「媾い」は行為そのものを名指し、語の内部に動きを抱えています。「痴情」は評価を持ち込み、話者がどこに立っているかを露出させます。二字のこの語だけが、出来事の輪郭を空欄のまま差し出し、動作も評価も読者に預けたままにする。小説の地の文でこの語を選ぶとき、書き手は描写を省いているのではなく、省略という描写を選んでいます。文様で埋め尽くされた画面が、肌を隠すことによって肌を主題にしたのと——順序としては同じ操作です。空欄は、埋められないことによって働きます。

文: hakadoru.ai 編集部

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