情交
【じょうこう】名詞同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
直喩変換
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
副詞的言い換え
情態副詞・形容詞の副詞的変換
動詞的言い換え
形容詞・副詞を動詞句に変換
体言的言い換え
用言を体言に変換
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
情態副詞・形容詞の副詞的変換
形容詞・副詞を動詞句に変換
用言を体言に変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
判決文や報道の文章で、二人のあいだに関係があったことを認定するとき、この二字が使われることがあります。文学の語彙として育った婉曲が、事実認定の単位として制度に取り込まれた例です。婉曲とは、直接に言わないことで対象を指す技法ですから、それが法の文書に入ると奇妙なことが起こります。何を指すのかを明示しない語で、何があったかを確定しなければならなくなるわけです。曖昧さを残すために選ばれた語が、曖昧さを許さない場所で働かされています。
下の字が担ってきたのは、公の往還です。交通、交易、外交、交渉、交付、交代——この字を含む二字漢語の大半は、当事者が対等に何かをやりとりする場面を、事務的な調子で述べるために使われます。届け出や告示の文体によく馴染む語群であり、身体の含みはどこにもありません。そこへ「情」を一字かぶせると、やりとりの中身が心のはたらきの側にあるとだけ告げられ、何が交わされたかは書かずに済みます。動機を示す字で行為を示す字を代替する、という置き換えです。しかもこの二字は、事務の語群のただなかに紛れていられます。文脈を外せば、どちらとも読める——婉曲が成り立つ第一の条件は、その中立の顔を持てることでした。制度の文書がのちにこの語を引き取ったのは、婉曲がもともと制度の語彙から顔を借りていたからです。
近代の日本語は、こうした漢語二字の層を集中的に作りました。西洋の小説を訳す作業のなかで、原文が具体的に書いている場面を抽象度の高い熟語に置き換えて緩衝するという処理が、繰り返されます。訳語が原文より一段よそゆきになるのは翻訳一般に起きることですが、性をめぐる場面では、この落差が意図的に使われました。読者はよそゆきの語の向こう側に、書かれていない具体を自分で補います。婉曲は情報を減らす技法ではなく、補う作業を読者へ渡す技法でした。
補わせるという構造は、取締りの下でさらに徹底されます。禁令は、たいてい具体的な語や図の水準で書かれます。何を書いてはならないかを条文へ落とすには、対象を名指すほかないからです。名指された語は使えなくなり、名指されなかった語がそのぶん働きはじめます。抽象度の高い漢語二字が重宝されたのは、この非対称のためでした。条文の目は具体を捕らえるようにできており、抽象語はそのあいだを素通りします——禁止が表現の技法を鍛えるという、よく知られた逆説の実際の仕組みは、たいていこの程度に散文的です。取締りが精密になるほど、迂回する側の語も精密になっていきました。
現代の小説でこの語がほとんど使われなくなったのは、婉曲としての機能が擦り切れたからではないでしょう。むしろ、法廷と報道で使われすぎたことのほうが効いています。事実認定の語になった言葉は、当事者の側の体験を書く語としては使いにくくなります。じょ/う/こ/う の四拍は、音としては硬く、和語の柔らかい語尾を持ちません。制度の文書に馴染む音の質を、初めから備えていたと言えます。代わりに現代の書き手が選ぶのは、より即物的な語か、あるいは何も名指さずに場面の側だけを書く方法のどちらかです。文学が手放した語を制度が拾い、拾われた語は文学へ戻れなくなりました。
文: hakadoru.ai 編集部
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