密事
【みつじ】名詞同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
直喩変換
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
副詞的言い換え
情態副詞・形容詞の副詞的変換
動詞的言い換え
形容詞・副詞を動詞句に変換
体言的言い換え
用言を体言に変換
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩
情態副詞・形容詞の副詞的変換
形容詞・副詞を動詞句に変換
用言を体言に変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
密という字は、性格の違う二つの意味を同居させています。ひとつは隙間がないことで、緻密、稠密、密閉、密度がこの系統です。もうひとつは隠されていることで、密告、密会、機密、密輸がこちらに入ります。物理的な充填と情報の遮断は、本来べつの事柄でしょう。両者をつなぐ線があるとすれば、隙間がなければ外から中は見えない、という一点だけです。この字は、その一点を要にして二つの世界を束ねてきました。
同じ密を頭に置く漢語を並べると、この語の作りが際立ちます。密約は約すこと、密会は会うこと、密告は告げること、密葬は葬ることであり、どれも行為を表す一字が後ろに来ていて、何が行われたかが名のなかに書き込まれています。この語だけが事という空の一字を置き、内容を言わないまま、それが隠されているという事実だけを告げます。和語の秘め事と比べると差はもっとはっきりします——秘めるという動詞を含む和語には、隠す主体の動作が残っているのに、こちらの漢語には状態しかありません。密教という語が、教えの中身ではなく伝えられ方を名にしているのと、発想の向きは同じです。
秘密が成り立つには、前提がひとつ要ります。内面が外から見えないという条件です。当たり前に思えますが、体験としては誰にも保証されていません。記述精神医学は、この前提が崩れる訴えを丹念に書き取ってきました。自分の考えが他人に知られている、抜き取られている、まわりに広まっているという体験は、症状記述の語彙にかなり早い段階で登録されています。そこで失われているのは考えの内容ではなく、内容と外界のあいだにあったはずの隔たりのほうです。
内側を語らせる手続きのほうにも、長い歴史があります。告白という形式は、まず宗教の制度のなかで整えられ、何を、どの順序で、どこまで述べるかが定められていました。近代に入ると、内面を言葉にして専門家の前へ差し出すという同じ形式が、医学の面接にも引き継がれます。隠されているものは、こうして問われることによってはじめて秘密という形を与えられました。誰も問わなければ、それはただ語られていないだけのものです。何をどこまで話すかを自分で決められるかぎり、その人はまだ内側の管理者でいられます。決める働きそのものが失われたとき、隔たりは意志の外側にある事実へ変わります。
正常と異常を分ける線も、内容の側にはありません。隠しごとを持たない人はまずいませんし、その中身が特殊かどうかは病理の指標になりません。問題になるのは構造のほうで、隠しているのか、隠せなくなっているのか、あるいは隠す必要のないものまで隠さざるを得なくなっているのか。同じ沈黙が、置かれた構造によって別のものになります。この語が中身の場所を空けたまま作られているのは、たまたまではないのでしょう。隠されたものは、名指された瞬間に隠されたものではなくなります。名指せないものに名を与えるには、こういう空洞を残しておくほかありませんでした。
文: hakadoru.ai 編集部
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