後櫓

【うしろやぐら】名詞

同義語

同品詞の類義語

背面騎乗位文芸的
後ろ向き騎乗位
うつ伏せ挿入colloquial

類義句

同品詞の慣用的言い換え

うつ伏せで繋がる文芸的
背中合わせの交わり

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

うつ伏せ挿入の如く文芸的
背面騎乗位の姿で

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

背中を合わせて

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

うつ伏せで重ねるcolloquial

体言的言い換え

用言を体言に変換

背中合わせの交合文芸的
うつ伏せ挿入技colloquial

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

背中合わせの情交文芸的
うつ伏せの交尾colloquial

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艫にあるものへ、あらためて後ろと言う

和船の櫓は、船尾に据えます。艫の櫓杭に櫓臍を落とし込み、そこを支点にして水中で八の字を描くと、押しても引いても推進力が生まれる——西洋の櫂が水を掻いて戻す往復のうち半分を空振りに費やすのに対し、この道具は行きも帰りも仕事をします。梃子の腕が長いぶん、体重の移動だけで大きな水を動かせます。狭い水路では舵の役も兼ね、一人で船を回すこともできました。近世の河岸や内海の運搬を支えていたのは、この単純な機構です。

もう一つ、この道具には向きの逆転が畳み込まれています。西洋の櫂を引く漕ぎ手は進行方向に背を向け、自分がどこへ向かっているかを見ないまま漕ぎます。和船の櫓は逆で、艫に立つ者は舳先の側を向いたまま押します。船のいちばん後ろにいる者が、いちばん先を見ていることになります。この動作に漕ぐではなく押すという動詞が当てられてきたのも、体重を前へ預ける運びが主だからでしょう。表記のほうも櫓と艪の二通りが行われ、木偏の字と舟偏の字が併存したまま今日に至ります。位置と視線が食い違うというこの条件は、後という一字の表面にはまったく現れません。

だとすれば、その冠は妙なことになります。櫓は、はじめから後ろにあるものだからです。同語反復に見えるこの重複は、しかし名づけの現場では珍しくありません。標準の位置が標準として意識されるのは、それがわざわざ名指されたときだけだからです。何も言われないうちは、後ろにあることは条件ですらなく、単に世界の形でした。一字が付いた瞬間、当たり前だった配置が選択肢の一つに変わります。

禁忌と侵犯をめぐる議論が繰り返し確かめてきたのも、これと同じ順序でした。禁止は対象を遠ざけるためにあるように見えて、実のところ対象を対象として立ち上げます。線が引かれるまで、その向こう側は特別な場所ですらありません。祝祭が日常の秩序を裏返してみせるのも、裏返すべき秩序が先に名指されているからです。侵犯は規則の外側にあるのではなく、規則が作り出した内側の空洞に住んでいます。労働の道具を借りている点も、この名の含みを厚くしています。櫓は漁と運搬の道具であり、漕ぐたびの軋みは働く音でした。生産のための機構を、生産と切り離された場面の名として使う——性を生殖から切り離したところに人間の特異性を見てきた議論の系譜を思えば、この転用はずいぶん的確です。

無駄な一字、というのが、この名のいちばん贅沢な部分かもしれません。情報としては何も足していないからです。艫にあるものを艫にあると言い直しているだけで、聞き手が新しく知ることはないはずです。それでも一字を余計に置くという振る舞いは、必要を超えて費やすという型そのものでした。一年の蓄えを一日で焼き尽くす祭りや、返礼の見込みなしに差し出される贈与と同じで、余計であることのほうに意味が宿る領域があります。この一字は伝達の効率から見れば欠陥ですが、聞いた側に一拍の遅れを作ります。当たり前の位置がわざわざ名指されたとき、その位置は初めて選ばれたものになります。遅れて届くその感触こそが、余った一字の仕事です。

文: hakadoru.ai 編集部

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