穿つ

【うがつ】動詞

同義語

同品詞の類義語

貫く文芸的
突き通す
刺し貫く文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

突き入るcolloquial
奥まで届ける

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

槍で刺すように文芸的
刃物で切り裂くように文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

突き立てる
突き進む

体言的言い換え

用言を体言に変換

一撃
貫通

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

深く侵入する
突き刺さる

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彫り取られたほうの絵——穴と視線の設計

浮世絵の版木を前にした彫師の手は、絵を彫っているのではありません。木版は凸版ですから、墨が乗る線を残し、それ以外のすべてを削り落とす作業になります。彫師が刃を入れているのは余白のほうで、絵は削られなかった部分として、事後的に姿を現します。この工程を言い当てる動詞を探すと、「穿つ」が思いのほか正確に当てはまります。穴をあける、貫く、削って通す——除去によって形をつくる行為の名です。

字のつくりも同じことを言っています。「穿」は穴と牙を組み合わせた形で、牙で穴をあける動作を表したものと説明されます。読みはう・が・つの三拍です。同じ漢字はもうひとつの訓を持っていて、「穿く」と書けば「はく」と読み、袴や靴を身につける意味になります。貫くことと身にまとうこと——正反対に見える二つの動作が、一字のなかに同居しているわけです。衣服とは、身体を通すための穴を計算して縫われた布にほかなりません。そう考えれば、この二訓は矛盾ではなく、同じ発想の裏表になります。

春画の構図は、この計算をほとんど極端なところまで押し進めた例と言えます。彫師が刃を入れずに残さねばならない線は、文様と畳の目と髪の毛筋によって埋め尽くされ、一枚の版木のなかでも手数の配分は極端に偏ります。密に彫られた面のなかに、彫り残しの少ない開口がいくつか設けられる。見る者の視線は、埋め尽くされた面をひとしきり滑ったのち、必然として開口へ落ちます。版本の艶本では、絵と文字が同じ紙面に彫られました。文字もまた、周囲を削り取ることで残されたものです。省略はここでは怠慢ではなく、視線の誘導路をつくるための設計です。何を描かないかを決めることが、そのまま何を見せるかを決めることになります。

装置の側にも同じ発想が現れます。江戸期には、箱に穿った穴からレンズ越しに絵を覗く見世物が流行しました。覗くという行為そのものが商品になり、穴はあらかじめ装置に設けられ、見る位置は一つに固定されます。視線を設計するとは、見る者の身体を置く場所まで決めてしまうことでもあるのです。カメラ・オブスクラも同じ原理で、暗い部屋に穿たれた小さな穴が、外の光景を反転して壁に結びます。この現象は中世のアラビアの学者によって詳しく記述され、のちに写真術の土台になりました。

写真機の絞り値が焦点距離を有効口径で割った数だという定義は、穴の直径そのものが画像の性質を決めることを意味しています。穴が小さいほど像は隅々まで締まり、大きいほど背景は溶けます。どこを鮮明にし、どこを曖昧にするか。絵師が布で隠したのと同じ判断を、光学は穴の径によって行っているわけです。「うがった見方」という言い回しは、本来この語の肯定的な側面を表し、表面を貫いて核心を言い当てる意味でした。近年は疑ってかかる態度を指す用法が広がり、国の世論調査でも取り上げられています。どちらの用法にも、覆いの向こうに何かがあるという前提だけは共通していました。穴をあけるという手つきが成り立つのは、向こう側の存在をあらかじめ信じている場合に限られます。信じていなければ、刃は入りません。

文: hakadoru.ai 編集部

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