内腿

【うちもも】名詞

同義語

同品詞の類義語

股間文芸的
太腿の奥
腿の付け根

類義句

同品詞の慣用的言い換え

腿の奥地文芸的
秘められた場所文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

柔肌の渓谷文芸的
桃源郷の入り口文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

奥深く
秘所へと向かって文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

秘めた場所を明かす文芸的
奥の楽園へ導く文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

官能の谷間文芸的
欲望の奥地文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

蜜の源泉文芸的
熱き淫らな場所文芸的

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縫い目が引いた線

洋服屋の採寸表には股下という項目があります。腰の付け根から足首まで、脚の内側に沿って測るこの寸法は、和装の採寸には存在しません。着物は身丈と裄と袖丈で寸法が決まり、二本の脚を別々に包む必要がそもそもないからです。筒状の脚衣が日用品になった時期に、日本語は身体の内側の面を測る言葉を新しく抱え込みました。内腿という語が指しているのは、その筒の縫い目が当たる面です。名づけの背後に採寸と裁断があるという意味で、この語は解剖学よりも先に裁縫の側に属しています。

日本語は身体の位置を左右ではなく内外で分ける語をいくつも用意してきました。内踝と外踝、内股と外股、膝の内側と外側の靭帯——境目のない曲面に、正面から見た向きだけを頼りに線を引く方式です。このうち内股だけが、位置の記述から離れて独り歩きしました。膝を寄せて歩く歩き方の名になり、柔道では脚を内側から跳ね上げる投技の正式な名称になっています。同じ造語法で作られた内腿のほうは、どの制度にも登録されないまま、位置を言うためだけの語にとどまりました。二つの語の行き先の違いは、意味の差ではなく、どちらが記述の必要に迫られたかの差です。腿という字の読みの分業にも、似た事情が透けます。訓の「もも」は台所と衣類の語彙に属し、音の「タイ」は大腿、下腿、大腿骨というふうに解剖と臨床の側へ集まりました。手で触れて語るときは訓、器械で測って書き留めるときは音という配分です。

覆いと露出の線引きは、身体の側ではなく法令と衣服の側で動いてきました。明治五年に東京で施行された違式詿違条例は、裸体で往来に出ること、肩を脱ぐこと、湯屋の混浴などを取り締まりの対象に並べています。身体のどの部分が危険かを判定した規則ではなく、人前で衣を緩めるという振る舞いそのものを風俗の問題として扱った規則でした。項目を順に読むと、文明開化期の行政が何を恥として登録し直したのかが、条文の並びだけでおおよそ見えてきます。外からの視線を意識した取り締まりであったことも、しばしば指摘されてきました。

着物は前を打ち合わせて紐と帯で留める構造ですから、歩幅を広く取れば裾は割れます。隠蔽は縫製ではなく所作に委ねられており、裾さばきの巧拙がそのまま身のこなしの評価に直結しました。遊里の装いで帯を前で結ぶ形が用いられたと伝えられるのも、着崩れと着直しの手順が生活の技術だった時代の名残です。洋装が普及すると、この配分は反転します。股下は縫い閉じられ、布の構造そのものが露出を制御するようになりました。作法が担っていた仕事を縫い目が引き受けたとき、禁忌の在り処もまた、振る舞いから構造へ移ったことになります。

浴場をめぐる触れが近世を通じて繰り返し出されたことは、同じ事情を裏から照らします。同じ内容の禁令が何度も出るのは、守られていないからです。制度は身体の一点を名指して禁じるのではなく、覆いをどこまで緩めてよいかを管理してきました——禁じられたのは面ではなく、面が現れる手順のほうです。内腿という語が長く医学と裁縫のあいだにとどまり、成句にも比喩にも育たなかった理由も、そこにあるのでしょう。名づけられたこの面の上を、条文と縫い目だけが、時代ごとに線を引き直してきました。

文: hakadoru.ai 編集部

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