交わり

【まじわり】名詞

同義語

同品詞の類義語

肉体の合一文芸的
交接
性愛の交歓文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

体を重ねる
絡み合う

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

溶け合うような文芸的
熱い融合

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

淫らに

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

一つになる

体言的言い換え

用言を体言に変換

肉体の交感文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

濃密な結合文芸的
官能の舞文芸的

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共有点は一点しかない

平面上の二直線が交わるとき、共有する点はひとつだけです。二本は一点で触れ、そのまま互いから離れていきます。重なり続けるなら、それは交わりではなく一致と呼ばれます。日本語の「交わる」がこの幾何の術語として定着したのは近代の翻訳語整備を通じてですが、和語の側にもともと、接触と分離を同時に含む働きがありました。まざる、まじる、まぜる。同じ語根から枝分かれしたと考えられるこれらの動詞のうち、まじわるだけが、混じり合って区別を失う方向へは進みません。

混合と交差の差は、可逆性の差でもあります。粉を水に混ぜれば、もとの二つを取り出すことはできません。線と線が交わっても、どちらの線も自分であることをやめずに済みます。「交」の字が脚を組んだ人の形にかたどられたと説明されることも、この事情に合っています。組んだ脚はほどけます。交際、交叉、交渉、交易——この字を含む熟語がいずれも当事者の解消されない二者性を前提にしていることも、同じ方向を指しています。

漢籍から入った言い回しを並べると、この語がまず何を担っていたかが見えてきます。水魚の交わり、刎頸の交わり、断金の交わり。いずれも友情の濃さを言う定型で、身体の接触を指す用法はここに含まれません。同じ語が後に別の領域まで覆うようになったのは、交わるという動詞が、関係の中身ではなく関係の形だけを述べる語だったからでしょう。誰と誰が、どの水準で触れているのかを、この語は指定しません。だから領域を越えて貸し出されました。

精神分析のなかでも対象関係を扱う流れは、この点にこだわってきました。乳児にとって最初の他者は、自分の一部のように扱われる部分的な存在で、はっきりした輪郭を持ちません。輪郭が生まれるのは、思いどおりにならないという経験を通じてです。関係が成熟するとは、融合の度合いが増すことではなく、相手が自分でないという事実に耐えられるようになることでした。転移と呼ばれる現象も、古い関係の形が新しい関係の上へ移し替えられる事態を指します。移し替えが可能なのは、関係に中身から独立した形があるからです。

同じ流れから、誰かが居るところで一人でいられる能力という言い方が出てきました。誰も居ない場所で一人でいるのは、単なる孤立です。他者が確かに居て、しかもこちらの注意がその他者に絶えず縛られていない状態——それが到達点として語られました。この定式は、交わるという語の幾何学的な含みと不思議なほど噛み合います。共有点が一点であることは、関係の貧しさではありません。触れたあとも二本の線が別々の方向へ伸びられるという条件を、それは保証しています。

この語には、信仰の層も重なっています。文語訳の信条に置かれた「聖徒の交はり」という言い方は、地上と天上の隔たりを越えた結びつきを指しました。連用形が名詞になった語であることを思えば、この語が指しているのは行為そのものではなく、行為のあとに残った関係のほうです。交わったことの証拠は、重なった面積ではなく、離れたあとにも消えない一点のほうに残ります。

文: hakadoru.ai 編集部

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