深める

【ふかめる】動詞

同義語

同品詞の類義語

激しく交わる文芸的
貪る文芸的
求め合う

類義句

同品詞の慣用的言い換え

愛を重ねる文芸的
快楽に溺れる文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

嵐のような文芸的
炎に包まれるように文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

激しく

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

繋がる

体言的言い換え

用言を体言に変換

情交文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

乱れる文芸的
燃え上がる

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他動詞では動かせないもの——「深める」と関係の位相

無意識を語る言葉が、なぜ上下の軸を選んだのかは、それ自体が考えるに値します。層があり、上と下があり、下ほど見えにくいという図式は、日本語では「深層心理」という訳語で定着しました。しかし、この空間の取り方は理論の必然ではなく選択です。心的なものを深さで測る代わりに、内と外で測る立て方もあり、実際に対象関係論と呼ばれる系譜は後者の語彙を厚くしました。取り入れる、投影する、抱える。どれも境界の出入りを表す言葉です。

日本語の「深める」は他動詞で、自動詞の対に「深まる」を持ちます。高める/高まる、強める/強まる、弱める/弱まると同じ作りで、形容詞から動詞を作る型に属しています。ところがこの動詞は、目的語をかなり選びます。理解を深める、議論を深める、仲を深める、傷を深める。並ぶのはどれも抽象名詞で、物理的な穴や井戸を目的語に据えると、途端に据わりが悪くなります。穴なら「掘り下げる」が選ばれるはずです。効く範囲は——深さの比喩がすでに定着した領域に限られているわけです。

非対称はもう一段あります。形容詞の「深い」なら、深い井戸も深い霧も深い眠りも問題なく言えます。物理的な奥行きにも、視界の妨げにも、意識の水準にも届く広い語です。ところが動詞化した途端に、届く範囲が急に狭まります。状態を記述する語より、状態を変える語のほうが目的語を選り好みするという現象は、日本語のあちこちで見られます。変化には担い手が要るからで、担い手を立てられない領域には、他動詞のほうが入っていけません。

臨床の言葉づかいでは、この使い分けがさらに厳しくなります。面接の過程について「関係が深まった」とは書けても、「関係を深めた」と書けば、誰かが操作した気配が残ります。転移と呼ばれる現象は、まさに操作の外側で起きるものとして記述されてきました。過去の関係の型が、目の前の相手に向けて反復されます。治療者が意図して起こすものではなく、起きてしまうものをどう扱うかのほうが問われる領域です。

同じことは、抱えることという概念にも当てはまります。ウィニコットがこの語で指したのは、乳児を落とさない環境が続いていることであって、積極的に何かを与える働きかけではありませんでした。クラインが内的対象と呼んだものも、外にいた誰かが内側へ移った結果として語られ、深さの階層に置かれるわけではありません。深さの語彙が扱いにくいのは、深いところにあるとされたものが、いつ、どうやってそこへ行ったのかを説明しない点にあります。

書き手にとって、この他動詞は罠にもなります。人物の関係を「深める」と書けば、作者が距離を操作したことがそのまま文面に出ます。読者が受け取りたいのは、関係が深まってしまった経緯のほうです。深さは結果として測られるものであり、目的語に立てて動かすと、動かした手のほうが見えてしまいます。逆向きにも同じ制約が働きます。「関係を浅める」という言い方が日本語に育たなかったことは、この動詞が引き受けている非対称をよく示しています。他動詞で書けるのは理解や議論までで、その先は自動詞に渡したほうが、文章は静かになります。

文: hakadoru.ai 編集部

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