弄ぶ

【もてあそぶ】動詞

同義語

同品詞の類義語

愛撫する文芸的
戯れる文芸的
挑発する

類義句

同品詞の慣用的言い換え

指先を滑らせる文芸的
快楽を与える

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

猫がじゃれるように文芸的
官能の遊戯のように文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

誘うように

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

誘惑する
官能の舞いを演じる文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

官能の戯れ文芸的
快楽の探求

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

淫らに文芸的
挑発的に
官能的に文芸的

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両手に載せた玉——遊びが否定へ傾くところ

「弄」という字は、上に玉、下に両手を表す部分を置いた形から作られたと説明されます。玉は古代中国において祭祀の器であり、身分の証でもありました。その貴重なものを手のひらに載せ、角度を変えながら光の当たり方を確かめる——字の中心に据えられているのは、対象を壊さずに扱う手つきのほうです。触れてはならないものを、触れてよい形式のなかで扱う。そこにこの字は成立しています。

発達心理学が記述してきた乳児の手の使い方は、この字形と重なる部分を持ちます。生後数か月の子どもは、握ったものをまず口へ運び、次に目の前へかざし、やがて持ち替えて裏側を見ようとします。ピアジェは、この時期に繰り返される操作を、対象の性質そのものより、対象に対して自分に何ができるかを確かめる作業として位置づけました。落とせば音がする、振れば形が変わる——確かめられているのは物ではなく、自分と物とのあいだに成り立つ関係のほうです。

同じ時期の子どもは、応答するものと応答しないものを驚くほど早く見分けます。自分から動き出すかどうか、こちらの働きかけに時間差なく反応するかどうか。そうした手がかりで生き物とそれ以外を区別していく過程が、いくつもの実験で報告されてきました。ぬいぐるみを引きずり、噛み、投げ、また抱え直すという手荒さに悪意の成分が含まれないのは、相手が応答しない側へ分類されているからです。痛みを持たない相手を前提にした遊びだからこそ、力の加減が問題になりません。

順序としては、受け身の経験のほうが先に来ます。抱かれ、運ばれ、着替えさせられる時期の子どもにとって、自分の身体は自分の意志の外で動きます。日本語がこの動詞を受身形で多用するのは、その記憶と無関係ではないのかもしれません。波に弄ばれる、時勢に弄ばれる、病に弄ばれるという言い方で動作主の位置に立つのは、しばしば人格を持たないものです。能動で使うときの加害性と、受身で使うときの被害性が、ひとつの語形の内部で完結しています。

ところが能動の「弄ぶ」は、ほとんどの用例で否定の色を帯びます。「もて遊ぶ」とも書かれ、語構成としては持つことと遊ぶことの複合と説明されますが、中立に使われる場面はまれです。人の心を弄ぶ、権力を弄ぶ、法を弄ぶ——目的語に立つのは、扱う側の都合で転がしてはならないものばかりです。「遊ぶ」が単独では肯定の温度を保っているのに、複合になった途端に符号が反転する点で、この語は日本語のなかでも極端な例に属しています。

反転の分かれ目は、対象に応答する力を認めるかどうかにあるように見えます。毛布は握られても抗議しませんし、玉は転がされても意思を示しません。応答しないものを扱うのが遊びであり、応答するはずのものを応答しないかのように扱うのが、この動詞の指す事態です。字の起源にあった壊さずに扱う手つきは、日本語に入ったあとで、相手の側の内側を勘定に入れない手つきへと意味を変えました。玉であれば、それでも構いません。玉でないものに同じ手つきを向けたとき、日本語はこの一語を用意して待っています。

文: hakadoru.ai 編集部

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