びくびく

【びくびく】副詞

同義語

同品詞の類義語

震えるように文芸的
身震いしながら

類義句

同品詞の慣用的言い換え

ブルブルとcolloquial
小刻みに震え

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

波打つように文芸的
痙攣するほど

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

小刻みに

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

震える
身悶える文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

身体の震え
官能の波文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

快楽に身を震わせ文芸的
絶頂の震え

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反射から予期へ——四拍が抱えこむ時間の幅

生後まもない乳児は、大きな音や急な体位の変化に対して、両腕を大きく開いてから抱きつくように閉じる動きを見せます。驚愕反射と呼ばれるこの動作は意志とは無関係に起こり、多くは生後数か月のうちに見られなくなっていきます。そこで生じているのは一度きりの跳ね上がりであって、次を待つ構えではありません。この時期の身体に、びくびくという語を当てるとどこか噛み合わない感じが残ります。反復の形をとる語が指すのは、繰り返し起こりうるという見通しを含んだ状態だからです。

この語には派生の階梯があります。びくっ、びくり、びくびく——一回の跳ね上がりから、断続する揺れ、そして持続する怯えへと、語形が伸びるにつれて抱えこむ時間の幅も広がっていきます。び/く/び/く の四拍は、二拍のまとまりを二度置くことで、反復そのものを音の構造として提示しています。発達心理学が記録してきたのは、まさにこの移行に対応する変化です。生後八か月前後になると、乳児は見慣れない顔を前にして泣くようになります。これから起こることの予測が、身体を先回りして構えさせるのです。

ガラス板の下に落差を作り、その上を這わせるという実験がよく知られています。触れば支えられていると分かる面でありながら、多くの乳児は縁で止まり、進むかどうかを決めかねます。このとき子どもが見るのは足元ではなく、向こう側にいる大人の顔です。相手が笑っていれば渡り、怯えた表情を作れば引き返す——社会的参照と呼ばれるこの振る舞いは、危険の判定を自分の感覚だけで下していないことを示しています。この語が名指しているのは、外界そのものへの反応ではありません。外界がこれから何をしてくるかという予告に対する、身体の構えのほうです。

半濁音の側と比べると、意味の分布の偏りがよく見えます。まぶたが、指が、頬が——ぴくぴくは身体の部位を主語に取り、人そのものを主語には取りにくい語です。ところが濁音の側は「彼はびくびくしている」と自然に言えます。同じ二拍反復の型から出発しながら、濁音を負ったほうだけが人を主語に据え、心の状態を記述する語へ育っていきました。身体の局所に留まった語と、人格の全体を覆う語。日本語の擬態語の体系には、こうした非対称がしばしば残されています。

語形の側にも、もうひとつ奇妙な偏りがあります。びくともしないという言い方は日常的に使われますが、びくともする、という肯定形は成立しません。否定と組んだときにだけ現れる語形です。そこで打ち消されているのは動きの有無であって、怯えの有無ではありません。同じ語根から、心の構えを描く語と、物体の不動を描く語が分かれて育ったことになります。石垣がびくともしないと言うとき、話し手は石垣に心を認めているわけではなく、最小の揺れすら起きない状態を、人の怯えを測る目盛りを借りて言い表しているのです。

思春期には、自分の身体が他者からどう見えるかという像が急速に育ちます。この時期に起こる変化のひとつは、自分の反応を外側から眺める視点を持つことです。びくびくが自己記述として使われるとき、たとえば、あのころは何を言われてもびくびくしていました、という回想の形をとるとき、語り手はすでに、当時の構えを外から眺める位置に立っています。他人を評する語であると同時に、遅れて手に入る自己観察の語でもある。反射が予期に変わり、予期がやがて記述の対象になるまでの道のりが、この四拍のなかに畳まれています。

文: hakadoru.ai 編集部

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