ずぷずぷ

【ずぷずぷ】副詞

同義語

同品詞の類義語

ぐちょぐちょcolloquial
びしょびしょにcolloquial
じゅくじゅくとcolloquial

類義句

同品詞の慣用的言い換え

ねっとりと絡み合うように文芸的
淫らに濡れそぼってcolloquial

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

蜜のように甘美な文芸的
水音を立てるほどの

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

淫靡に文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

淫らな音を立てるcolloquial

体言的言い換え

用言を体言に変換

官能の音色文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

淫猥に文芸的
はしたなくもcolloquial

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半濁点がなければ書けなかった音

仮名の右肩に打つ小さな丸——半濁点は、日本語の表記の中でも遅れて安定した記号です。は行の仮名にこれを付けてパ行を書き分ける方式は、中世末の資料にはすでに姿を見せていますが、一般の印刷物で一貫して打たれるようになるのは、活字と正書法の整備が進んだ近代以降のことです。それ以前の紙面では、同じ仮名がハとパのどちらにも読まれる余地が残されていました。

ずぷずぷという語は、この記号がなければ書き分けられません。濁音を並べたずぶずぶが、粘り気のある柔らかい沈み込みを担当するのに対し、半濁音に替えたこちらは、もっと張りのある、破裂の輪郭がはっきりした音になります。ずぶとずぷ——違いは唇を離すときの勢いだけで、仮名の上では点が丸に変わるにすぎません。表記の側にこの一点の差を書く手段がなければ、二つの語は同じ綴りに潰れていたはずです。

近世の遊里は、身体をめぐる語彙を大量に生み出した場所でした。公許の遊廓と、それ以外の岡場所とが制度の上で区別され、どこまでを認めどこからを取り締まるかの線は、時代によっても土地によっても引き直されています。区分があるところには、区分を語るための言葉が育ちます。廓の言葉づかいは外の世界と違う体系を持ち、洒落本や艶本はそれを紙の上に写し取ろうとしました。ただし、写せる範囲には限りがあります。音として存在していても、書き分ける記号がなければ本文には定着しません。

何を隠すべきかの基準も、社会によって大きく違います。身体のどの部分を覆うか、どの関係を公にしてよいか——近代以前の日本における入浴や裸体の扱いが、幕末以降に訪れた西洋人を驚かせたことはよく知られています。開国後、この落差はそのまま取り締まりの根拠になり、明治の初めには裸で外を歩くことなどを禁じる細かな規則が各地で定められました。猥褻という線は、外からの視線が入った時点で引き直されたわけです。

近代に入ると、書ける/書けないの線引きは技術ではなく制度の問題に移りました。出版法や新聞紙法のもとでは、書物や雑誌をあらかじめ役所へ納める仕組みが取られ、風俗を害すると判断されれば発売と頒布が差し止められました。処分が下るのは印刷の済んだあとですから、出版社は刷り上がった紙束を抱えたまま結果を待つことになります。損失を避けたい側は、線がどこに引かれるかを自分で見積もり、あらかじめ手を入れました。取り締まりの実効は、処分の件数よりも、この見積もりのほうに宿ります。

性の管理は、行為そのものよりも行為の記述を対象にしてきました。何を書いてよいかの線は時代ごとに引き直され、そのたびに書き手は迂回の技法を発明します。この種の擬音語が生き延びてきたのは、それが名指しではなく音の模写であり、規制の網が捉えにくい位置にあったからでもあるでしょう。取り締まる側から見ても、音の模写は扱いにくい対象です。何を指しているのかを認定するには、まず読み手の側が意味を補わなければならず、補われた内容を根拠に置くのは分の悪い議論になります。半濁点というささやかな記号が、その位置を支えてきました。表記の歴史は、しばしば制度の歴史と重なります。

文: hakadoru.ai 編集部

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